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「女の子は(中略)ありました」解説その2 ※ネタバレあります

あいかわらず遅い更新で申し訳ありません。
どうも二丸です。

前回の続き・・・の前に、来週名古屋で行われる大電撃文庫展ですが、岐阜から近いということで、遊びに行こうと思っています。
24日(土)のお昼ごろに行く予定なので、
「二丸の馬鹿野郎はどこだ!」
と叫んでいただければ、ビクついて怯えているのが私です。
二丸を脅かしに行きたい!というイタズラ心溢れる方がいらっしゃったら、どうぞお越しくださいませ。


では前回の続きを書いていきたいと思います。
読まれる方は、下のほうに進んでください。































■注意した点
④裏主人公の存在
 私は今作を書く上でやりたかったことがありました。
 それは「ガヤ」の存在です。名もない「少女たち」がそれに当たります。

 例を出しますと、デトロイト・メタル・シティで私が一番好きなのはクラウザーさんのファンたちです。
 ああいった名も知らぬ、だけど何となく楽しい存在、というのを書きたいという希望がありました。

 ただこれは小説にはあまり向かないものだと考えています。
 視点等の問題がありますし、小説ではなるべく登場人物を減らすほうがいいと思いますから。

 こうした希望や問題点を受けて、私は選択しなければならないことがありました。
 それは同じハーレムでも
 「主人公が不特定多数から好かれる」か「限定された美少女に好かれる」か、です。

 「主人公が不特定多数から好かれる」はまさにハーレムと言うべきものでしょう。
 しかしこれはライトノベルの主流ではないように思えます。

 バトルものなどは「限定された美少女に好かれる」と相性が良く、そういったパターンは思いつく方も多いと思います。
 また小説という媒体において「限定された美少女に好かれる」のほうが一人一人のキャラを掘り下げられるため、有効な選択だと私は思います。
 他にも「限定された美少女に好かれる」には素晴らしい要素があり、例えば「周りからバカにされていても、ヒロインからは愛されている」という特別感が出たり、イケメンがモテていても「本当の美少女は自分のほうを向いている」という満足感が出ます。

 そういった小説という媒体の特性や特別感が出るといったところから、ライトノベルでは「限定された美少女に好かれる」が主流だと思いますが、私があえて「主人公が不特定多数から好かれる」としたのは、やはり「ガヤ」を作り、その面白さを表現できたらなぁと思っていたからです。

 そういったことから裏主人公は「少女たち」だと考えており、注意した点に挙げられます。


⑤無駄なものの多様
 今作をとある作家さんにお話したときのことです。
 こんなキャラがいるよーということで、そのときは理沙先生について能力込みで説明しました。
 するとその作家さんは言いました。
「独身の焦りが込められ、とか完全になくてもいいですよね(笑)」と。

 というように、今回は無駄なものを多様しています。
 男が九十九%死んだ、女の子が能力を使える、などはまさに無駄の塊です。
 (能力といっても、時間を止めたりはできず、あくまで「人間の力が極大化した範疇内」ですが)
 無論、これらの設定にはインパクトや壮大さを出すための効用がありますが、そこに「無駄」がついて「無駄なインパクト」「無駄な壮大さ」となって欲しいと私は考えていました。そしてそれを軽さや楽しさに繋げたいと思いながら書いていました。

 これだけの力があれば他のことに使えばいいのに、男を奪い合うために無駄使用している。そこが私は好きです。なお、才能の無駄遣いをしている動画など、大好物だったりします。
 そのため表現にも無駄を多用し、過剰な表現を数多く入れ、『』や――、〝〟も数多く使用しています。
 これはギフテッドでは一文字単位で削ったりしていたのでできませんでしたが、作品の雰囲気に合うと思い、意識的に多く入れ込んでいます。
 また意味不明な戦記もの風の表現は、私の好みです(デビュー前は戦記ものばかり書いていたので)。
 パロディの多様についても、一種の無駄と言えるものかと思います。
 これは好きな方と嫌いな方の二択になるため迷いましたが、軽さが信条の作品だと考え、入れました。
 そしてあとがきから読まれる方などを考慮し、合わない方は気をつけてくださいとの思いを込め、パロディ多様のあとがきとさせていただきました。

 ということで、「こういった無駄の積み重ねこそが今作は大切なんだ!」がコンセプトのもと、「なくてもいい、だけどあるから楽しい」となるよう全体のバランスを取っていったのが今回のお話となります。


⑥視点について
 私はシンプルな話であれば一人称のほうがわかりやすくていいと思っていますが、今回は裏主人公の件もあり、三人称を選択しました。
 三人称でなければ「ガヤ」を表現しにくく、「主人公が不特定多数から好かれる」を選んだ意味がないためです。

 三人称は広い視点を書けますが、その分、わかりやすさや共感は減少すると思います。
 ギフテッドのように、基本一人称、時々三人称(ただし視点は決める)といったパターンもありますが、漫画的楽しさを追求したかったため、今作は一つの段落内で感情が入り乱れています。
 そのためわかりにくくならないよう注意したのですが、いかがでしたでしょうか。
 実のところ今まで挙げた注意点の中でも一番悩み、細かな修正を数多く入れていたポイントだったりします。それだけに自分の修行不足を痛感した部分でもあります。
 このブログを読まれた方がもしすんなりと読めたのであれば、それだけで私は嬉しいです。


 ということで、注意点した点はこれぐらいで。
 今思うと、自分のメモ書き程度にしておくべきだったかなぁ、作品を逆に楽しみにくくさせてしまうなぁ、とちょっと後悔中だったりします。
 わざわざ読んでくださった方、こんな愚痴まで読んでくださり、ありがとうございます。

 ではでは、この辺りで。
 それでは。

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  1. 2013/08/17(土) 01:14:07|
  2. 本の解説
  3. | トラックバック:0

「女の子は(中略)ありました」解説 ※ネタバレあります

どうも二丸です。
それでは宣言通り
「女の子は優しくて可愛いものだと考えていた時期が俺にもありました」
の解説(?)をしていこうと思います。

今回は解説というより、私が今作にたどりつくまでの思考の軌跡といいますか、
こういうことを考えながら作品を作っていった内容となります。
当然ネタバレはありますし、もしかしたら楽しめていた人が
楽しめなくなってしまうといったこともあるかもしれません。

なので少しでも嫌な予感がした人はすぐ「GO HOME!」でお願いします。
そして叩かれると心が死ぬのでご勘弁を(懇願)。

では読まれる方は下のほうへ。































新作を書くとなったとき、私が最初に考えたのは、
ライトノベルの王道ジャンルで一作書いてみたい、ということでした。

私がライトノベルの王道と考えているのは「萌え(ハーレム等を含む)」と「バトル」です。
そういったことからギフテッド1巻のあとがきで
「思いっきり逆走している」
といったようなネタをしました。
そのため安直ながら、今度は王道ジャンルで、と考えたわけです。

私はライトノベルにおいて、ジャンルは非常に大事なものだと考えています。
昨今のヒット作を見ますとほとんどが「萌え」か「バトル」に該当しているように見えます。
同じ「萌え」や「バトル」でも切り口や内容は作品ごとに全然違いますが、
大まかなジャンルといった意味では、ヒット作のほとんどがこの二つのどちらか、もしくは両方を看板としているように感じました。

ならばそこに「需要」があるはずです。
得意不得意、好む好まないに関わらず、市場に「需要」があるのならば、
そこに「供給」を投じてみたいと思ったのが今作を書くに至った最初の動機です。

漫画で例えるなら、私はもしかしたらヤングジャンプが一番向いているかもしれません。
でもジャンプでも書けるのなら、ヤングジャンプの内容をジャンプに載せようとするのではなく、
全力でジャンプにむいた作品を書こうと思った、といった感じです。


では「萌え」にするか、「バトル」にするか。
ここは非常に迷いました。
「萌え」と「バトル」を中心に様々な案を考え、消え、そしてまた考える、といったループで時間が過ぎていきましたが、その中で本として提供できるだけのものが今作であり、ジャンルで言えば「萌え」のほうでした。

ただ今作が最初に形となったのは、「萌え」でありながら「バトル」もちょっと含んでいるという、
個人的には美味しい折衷案となるようなものだからだったと思います。

ここで問題があります。
思いついたのはいいのですが、作品のアピールポイントを編集さんに伝える手段が思いつかなかったのです。
私はキャラから作るのではなく、必ずテーマやストーリーから作ってしまう癖があるため、
プロット(あらすじのようなもの)で今作を伝える自信がありませんでした。

「主人公が気がつかないところで女の子が超人的な動きで牽制し合っているんですよー」
と伝えても
「?? どこが面白いの?」
と誰もがなってしまうように思います。
今作の大きなアピールポイントとして『無駄な解説』があると私は考えているため、
『いきなり一作書き終えた状態で編集者に見てもらう』といったことをするに至ったわけです。
幸い評価をいただき、何回かの改稿を経て発売となりました。


そんな感じで簡単に今作に至ったわけを書いてきたのですが、
ここからは今作で私が注意した点などを書いていきたいと思います。


■注意した点
①男はなるべく少なくする
 一番原案の段階は「席決めシーン」でした。
 そこから考えると、ハーレム系にするのがいいと思ったわけですが、となると男は少なくしたいと思いました。
 なぜなら別の男を出すことにより「こいつに取られるかも」といった懸念を読者に一切感じさせたくなかったためです。

 例えば四角関係のラブストーリーでよくあるのですが、主人公とヒロインがカップルになると、エピローグでちゃっかり主人公を好きだった女の子とライバルがいい感じになっているのってありませんか?
 私はそれがダメなタイプです。
 なぜなら「主人公を好きだった女の子は、その主人公を想う一途さに魅力があった」と考えているためです。
 この類の魅力は「他の男をいいと思う」といったことでも魅力が落ちると思います。
 有象無象の女の子はライバルが好きだけど、重要な女の子は主人公が好き、といった構図はよく使われますが、これは九十九%の男性が死ぬ時点でできないと思いました。
 だから男をなるべく少なくしたかったのです。

 かといって、男を主人公以外ゼロにしたくはありませんでした。男同士じゃないとできないノリ、会話があるからです。
 そうしてホルスト(ホモ)が誕生しました。
 ホモなら男を出しても女の子を取られる心配がなく、ギャグにも使えるじゃないか!と思った瞬間が、今作が書き上げられる確信を持った瞬間でしょう。

 ここでホルストは読者に受け入れられるのか? との懸念が出ましたが、セイバーマリオネットJに花形美剣という偉大な先駆者がいるので、大丈夫ではないかと考えました。


②風刺的要素を入れる
 ホルストにはもう一つ重要な役割があります。
 「風刺」としての役割です。
 これは以前このブログで「ラブコメだけならもっとうまい人がいるだろうから、自分らしさをできるだけ出そうとした」に繋がってきます。

 ギフテッドは私自身「サクセスストーリー」としており、ライトノベルということで意図的に設定を大げさにしたことで、見る人によっては「中二系心理戦」となるかもしれません。
しかし会社員三年目以降くらいの人が読むと「あるある」となった方もいてくれたのではないでしょうか。

 年齢などによって印象が変わる点を入れたかったというのが私にはありました。
 ということでホルストの登場です。
 彼の女性観は偏見に満ちています。
 満ちています……が、私の中で「あるある」と思っている部分があります。
 彼の意見は作中で全部外れているのではなく、半分は正解です。あくまで半分ですが。
 そんなところを楽しんでもらえたらなと思っています。

 あ、はい、女性の皆様申し訳ございません!(土下座)
 女性のことを悪魔だとかそんなことはまったくもって思っておりません!
 私は女性を心から尊敬しています!


③なるべく軽くする
 エンターテイメント作品にとって、作者の意図が読者の意図と一致せず、作者の伝えたいことが押し売りになってしまうことがよくあるのではないかと思います。
 元々それを売りにしている作品なら独特の味として受け入れられるものでも、エンターテイメントならば邪魔なものとなります。
 そのため真面目となる箇所、主人公の信念となる箇所、といったところはできる限り削りました。
 具体的に触れますと、主人公である湊の両親に対する思いや両親がどういった経緯で亡くなったのか、父親の格言など、以降のノリとバランスを見て、改稿の際にバッサリいきました。
 ついそういったところを書いてしまうのですが、今作では合わないと思ったためです。

 その他、そこもバッサリいったのかよ、というところも結構やってます。
 ストーリー的なものだけではなく、キャラについてもエンターテイメントということで、初期状態と比べてがっつりと改変及び属性の追加をしました。
 これらは作品としての統一感、そしてエンターテイメントとしてやる必要があったことだと思います。

 こうした改稿は読者の方々に、
「いい暇つぶしにはなったよ」
「二丸ってやつは馬鹿じゃねーの」
と言ってもらうためだと思っています。
 もし上記のように感じていただければ、本当に嬉しいです。



 ……と、長くなってしまったので一旦切ります。
 ギフテッドのときと違って裏設定的なものを書けなくて(今回は書くことがなくて)、面白みに欠けてたら申し訳ないです。
 もう2点くらい(増えるかも?)注意したことを書いていこうと思います。

 目安は一週間~二週間くらいで。
 ではでは、また。

  1. 2013/07/19(金) 23:39:03|
  2. 本の解説
  3. | トラックバック:0

ギフテッド(2巻)の解説② ※ネタバレあります

ギフテッドの2巻が発売し、もしかしたらあとがきからこのブログ来てくれている人がいるかもしれないので、
せっかくだからあとがきで書ききれなかったギフテッド執筆の裏話や解説を書いてみたいと思います。
もちろん編集者さんが見ても問題のない範囲で行う予定ですし、
その他影響がないだろうと思う範囲で書くので、足りない部分についてはご容赦を。
2巻まで読まれた方を前提として書くので、ネタバレが嫌な方はお戻りください。

これはギフテッドを楽しんでいただいた方により楽しんでもらえるよう、補足をするものです。
そのため、読まれた方の考えや抱いた感情を否定するものではありません。
ギフテッドの作品を否定するものだとしても、それは真実だと思います。
私の解説などは、所詮盤外からの後付けです。
ただ作者はこう考えていた、という発見によって、楽しんでもらえる方がいれば幸いと思い、書いていきます。

これを読むことが蛇足と感じる人もいるでしょうし、表現一つを取られて叩かれると心が死ぬので、
嫌悪を持たれる方は見ないでいただけると助かります。

それでは2巻の解説を。
思い出したごとに書いていたりするので、読みにくい点はどうかご勘弁を。
改行を入れるので、読まれる方は下のほうに行ってください。



























■前提
私は一つの考えが正しいと思わず、物事は多面的だと考えているタイプですので、
ここに記載することも考えの一部であることをあらかじめここに記載しておきます。



さて今度は、捨丸について触れましょう。
一言で表現するなら、『問題児』です。

これはあとがきがもう1枚あればネタにしようと思っていたのですが、
プロット(あらすじのようなもの)を提出したとき、編集者さんに「いいですか?」と確認し、
初稿を書き上げた後でも「やっぱり削除しましょうか?」と問い、
修正後も「大丈夫でしょうか?」と聞いたりしました。

それほど私自身入れるか悩みながらも、プロットの段階から入れていたのは、
彼の持つ『暴力』と『不確実性』が欲しかったからです。

1巻や2巻でも強調されていますので、繰り返しになってしまい申し訳ないのですが、
私は『暴力』を非常に強いものだと思っています。
どれだけ頭脳を巡らせても、『暴力』はあっさりと覆します。
それほど恐れるべきものなのだと考えています。
現実において『外交力』が『軍事力』と連動しているように、これは外せない点だと考えています。
そのため国の行く末がかかっているのに、
『暴力』や『軍事力』が関わってこないのは、私にとって不自然に感じるものでした。

最近のアラブの春などが最近の代表でしょう。
むしろ荒れるのが当然だと私は思っています。
そのため最後のクーデターは、私にとって外したくないものでした。

個人における『暴力』と軍隊における『軍事力』はそれぞれ使いどころが違い、役割と使い方があります。
極論を言えば、範馬勇次郎が味方にいれば、選挙で策を弄する必要なんてありません。
相手を潰して終わりですから。
逆にこのとき、軍隊で攻めると目立つので不向きだと思います。
そのためもし捨丸の改造が完璧に行われていれば、
『頭脳』も『感情』も立ち入る余地はなく、捨丸が綾芽とケネスを暗殺し、勝負はそれで終了だったと思います。

こうしたことができることに『個人の暴力』のメリットがあり、
倫理を捨てても叶えたいことがあるならば、手に入れておきたいものの一つだと私は思っています。
様々な戦争時に人体実験の話が出てくるのは、それを証明するものに思えます。
そうして生まれたのが捨丸です。

現在でも両足義足の世界記録は10秒台ということを知り、
10年後、しかも技術が現実より発展した世界においては、
人体改造すれば相当なところまで行くだろうと考えています。

「ギフテッド」には「世界のトップに立つ人間とは、どんな人間か?」というテーマがある以上、
あらゆる面において人間の限界を探りたいと私は思っていました。
それは無論、頭脳や精神においてだけではなく、肉体としても、です。

じゃあある程度の「軍隊」と倫理を抜いて改造された「個人」はどちらが強いのか。
これに対し、私の出した結論が、個人の方が強いのではないかというものでした。
それは私の予測ではなく、提示として2巻に書かせていただきました。

今度は『不確実性』についてです。
戦争は思い通りにいきません。
歴史を調べるほど、おいおいと言いたくなるような些細なことが戦争の趨勢を決めた出来事が出てきます。
その『不確実性』をいつ爆発するかわからない爆弾のようなキャラクターに託したい望みが私にありました。
また平和な日本にいると見落としがちですが、『暴力』は世界的にはよく使われる手法であり、
国によっては当たり前のように使われる点も、『暴力』を象徴するキャラクターを入れたかった部分です。

研究所からの脱出、そしてクーデター時の捨丸の動きは、
『暴力』や『軍事力』によって積み上げたものも簡単に崩壊してしまうこと、
そしてエンターテイメントとしての演出面を考慮した上で決めました。

しかし頭脳戦を期待している方からは非難が出そうだなーと思っていたため、
編集者さんに何度も確認していたわけです。
ただ医局内での政治闘争とは違うため、頭脳による争いだけでは不自然と考えており、
『捨丸を入れる』というのが、プロット段階からあったわけです。

まあいろいろと書きましたが、純粋に楽しんでいただければこれ以上嬉しいことはありません。

なお、もし捨丸がカットだった場合、上記のコンセプトがなくなり、ページ数にも余裕が出るため、
次善の案として用意していたのは『候補者三名によるテレビ討論会と、その裏幕』でした。




せっかくクーデターのところの話が出たので、長良喜平の動きに関しても少し触れましょう。

長良喜平は海外で活躍していたサラリーマンのため、
政情不安定な国でクーデターが起こっているのは当然のごとく知っていますし、
軍事が国にとって大きな要素であることは肌で知っています。
そのため取った手法が、軍隊の情報を操るというものです。

彼の性格を考えると、三人の候補者の中で一番やりにくかったのは将軍でしょう。
一番自分の思うように動かせませんから。
それを理解していながら、サラリーマンの優秀さを誇示したい彼は、後から候補者を選ぶ状態にしています。
その状態とするには、勝てる算段がなくてはなりません。
そのため彼が誰を敵に回しても勝てるようにした手法として、

・ジュニアは過去の醜聞を集める
・大富豪は汚職の事実を突き止める

となっています。
これらは切り札として取っておき、いざというときの交渉材料としていました。
あっさり公表しては手を結ぶのは難しいですが、内に秘めておくことで、
手を結ぶ可能性も考慮していたのです。
そのおかげで、大富豪を一本釣りするという方法を取ることができました。

しかし将軍にはこれといって弱点と呼べるものがありません。
そのため彼が用意したのは、軍隊の情報を操るというものです。
他の候補者の弱点を握る努力と同様の努力で、軍にシンパを作ったりや仲間を潜入させ、
自分の思い通り動かせるようにセッティングをしていました。
もし応援する候補者が将軍以外であった場合、彼はきっと
『将軍が国を売ろうとしている』など、将軍に不信感を抱かせる情報をばらまき、
将軍を軍のトップから引きずりおろしたことでしょう。

今回は味方だったのでその方法は使いませんが、勝利を確実にするために、工作はしていました。
それは将軍の信望を高めさせる情報を流す、というものです。
独立戦争を戦ってきた兵士は将軍を信じていたので、それに油を注いでおいたのです。
そうしておけば万が一負けたとしても、クーデターが起きて、ジュニアと大富豪を殺すことにより、
自動的に勝利が転がり込んできます。
この点は先ほど解説した『どんな頭脳戦や結果も暴力であっさり覆ってしまう』ことを、
長良喜平がよく理解していたことがわかる部分だと思います。

ここまで万全にしていた彼が負けたのは、やはりジュニアの躍進でしょう。
これにより、軍隊内部でも揺れや焦りが出て、暴発が早まったのです。
独立戦争を戦った軍隊を外部の人間が思いのまま操るなんて、
相当な手並みを持った人でも困難なことだと思います。
ケネスによって発生した予定外の出来事が、成功率の低いクーデターを誘発し、
予想外の敗北をすることになったことは、彼のとっさの機転の弱さが出た部分でもあるでしょう。
恐ろしいほど準備周到で、逆にそれがゆえとっさの機転が弱いという点は、
日本人らしいと言えるかな、と思います。




今回綾芽は大富豪を選びましたが、その選択は間違っていたのでしょうか?
私は間違っていなかったと思います。
少なくとも、ジュニアや将軍を選ぶよりずっと良く、
現状の綾芽にとって一番組みやすい相手を選んだと考えています。

綾芽がジュニアを選んだ場合、ジュニアを立ち直らせる行動は取らないため、
反発し合い、長良喜平の罠もあって、勝利することは不可能だったでしょう。
問題は将軍を選んだ場合ですが、天子峰に反感を持つ将軍との融和を図れなかったと思います。
おそらく綾芽は下手に出ず、将軍とぶつかったでしょう。
それではダメだと考えて策を弄しても、理性が強く、戦場を潜り抜けている将軍は、
綾芽の企みに気がつき、より深い疑念を抱くようになると思います。
将軍を選べば勝てたかも、と思っているのは弥助であり、その判断は間違いだと思います。
そしてそれが弥助の能力の未熟さでもあります。

ただ弥助がリーダーとなった場合は別です。
弥助がリーダーで、将軍と組めば、ぶつかり合いはほぼなくなり、やがて友好も芽生えたでしょう。
弥助は打算のない人間(というより、頑張っている人に対しては私欲なしに理想論を優先する人間)なので、
将軍はその点に気がつき、態度を軟化させたと思います。
そうなれば勝てる可能性はあったでしょう。

綾芽の持つ『欲』と『甘さ』はアンバランスであり、それ故、大富豪を選ぶ以外
まともに策を進めることすら難しかった状況だったと思います。
エルは勘によって最善が将軍と見抜きましたが、
綾芽自身も自分の自己分析によって最善の相手を選んでいたのです。
綾芽自身が人によって最善は違うと言っていますが、あれが露骨に出ていたのが、候補者選びだったと思います。

ではどうやれば綾芽が勝てたかですが、一つは今より度量があればそれだけで勝てたと思います。
綾芽が大富豪を選ばなければまともに戦えない性格だった時点で度量は足りないのであり、
これが社交性の重要性とも繋がり、能力だけでは勝てないことを示しています。

それが現状ないということで、最善の大富豪を選んだ上で勝つには、『甘さ』を捨てる必要がありました。
私は思います。なぜ綾芽は、大富豪を裏切らせないため、人質を取ったりしなかったのか、と。
手段は何でもいいと思います。とにかく裏切らせないことは絶対にしなければならなかったのです。
例えば三里信一郎であれば、特に何もしなくても大富豪は裏切らなかったでしょう。
ズバズバ心の中を言い当てられれば、それだけで恐怖心は湧いてきます。
悪魔とも思える所業を平気で行う人間であることを知れば、裏切ったらどうなるか想像し、
長良喜平が声をかけても恐ろしくて裏切ることはなかったでしょう。

『甘さ』は人にとって魅力的に映るときもありますが、それは相手によってです。
弥助はその点に興味を抱き、評価していますが、その『甘さ』を弱みと思う人間には通用しません。
大富豪は少なくとも綾芽の『甘さ』を好意的に解釈する人間ではなかったので、
それが裏切るという結果に繋がったのだと思います。
『甘さ』を見せる相手を誤り、徹底さを欠いたところが綾芽の未熟さでしょう。
こうした精神のバランスの悪さが綾芽が能力を活かし切れていない点だと思います。

その点、弥助は安定度が高く、綾芽よりはずっと能力を発揮できています。
それが現れたのが『プロデューサー関連のシーン』であり、『長良喜平の勧誘を断ったシーン』だと思います。
『長良喜平の勧誘を断ったシーン』は断っても大変なことになりましたが、
もし断らなければ『弥助の心に弱点が発生する』という自体になったので、
助かって以後、大きな悩みの種となり、勝負を決定づけるものになっていたと思います。
それが断ち切れたのは、彼が優先順位を間違えず、私心の甘さを捨てた結果でした。
それが今回の二人の評価に繋がります。
綾芽は二面性の持つ長所と短所をもっと操り、長所を場面によって使い分けができるようになることで、
ようやく本当の能力が発揮されると思います。

結構散々に綾芽をこき下ろしていますが、それでも能力は秀でており、
弥助が綾芽の指示待ちになっている部分などは、絶対能力の差を示すものだと思います。
逆に安定した力を持っている弥助ですが、今までになかった感情が芽生えることで、
弱点が大きくなると同時に、自らの殻を破ってより大きな力を手にしようとしているのだと思います。

自分の力を発揮できず、一流になれないことはよくあることです。
しかし綾芽は負けたことがわかった後でも、最善を尽くし、ジュニアを勝つところまで持って行きました。
弥助も独白していますが、決戦投票に持ち込まれるには、弥助の力より、
綾芽の裏の動きのほうが大きな影響がありました。
大富豪を一本釣りされ、自らの勝利が得られないとわかっていながらも、
腐らず自らが作り上げた勝利への準備をうまく使いきったのが綾芽の矜持であり、
幹部として上にあがれるだけの資格を持ち合わせているところを見せつけた部分だと思います。
ここでもし腐っていれば綾芽は幹部に残ることはできず、幹部補に落ちていたことでしょう。


とりあえず解説はここで区切りをつけます。
ネタはあるんですが、書いていいのかなぁ、という部分もあるので。
もしこの点について解説して欲しいということがあればメールでどうぞ。
また、思いついたら追記するかもしれません。

今後はだらだらとした内容のブログを続けていくと思いますので、つまらん内容ばかりですみません、
と今のうちに謝っておきます。

それではここまで長い文章にお付き合いいただきありがとうございました。


  1. 2012/05/30(水) 22:39:43|
  2. 本の解説
  3. | トラックバック:1

ギフテッド(2巻)の解説① ※ネタバレあります

ギフテッドの2巻が発売し、もしかしたらあとがきからこのブログ来てくれている人がいるかもしれないので、
せっかくだからあとがきで書ききれなかったギフテッド執筆の裏話や解説を書いてみたいと思います。
もちろん編集者さんが見ても問題のない範囲で行う予定ですし、
その他影響がないだろうと思う範囲で書くので、足りない部分についてはご容赦を。
2巻まで読まれた方を前提として書くので、ネタバレが嫌な方はお戻りください。

これはギフテッドを楽しんでいただいた方により楽しんでもらえるよう、補足をするものです。
そのため、読まれた方の考えや抱いた感情を否定するものではありません。
ギフテッドの作品を否定するものだとしても、それは真実だと思います。
私の解説などは、所詮盤外からの後付けです。
ただ作者はこう考えていた、という発見によって、楽しんでもらえる方がいれば幸いと思い、書いていきます。

これを読むことが蛇足と感じる人もいるでしょうし、表現一つを取られて叩かれると心が死ぬので、
嫌悪を持たれる方は見ないでいただけると助かります。

それでは2巻の解説を。
思い出したごとに書いていたりするので、読みにくい点はどうかご勘弁を。
改行を入れるので、読まれる方は下のほうに行ってください。



























■前提
私は一つの考えが正しいと思わず、物事は多面的だと考えているタイプですので、
ここに記載することも考えの一部であることをあらかじめここに記載しておきます。



ギフテッドの2巻のテーマは「アンチギフテッド」でした。
これは気づかれた方が多かったかもしれませんね。

企業で言うと、入社したばかりでは、とても優秀と言われた人でも苦労することがほとんどだと思います。
綾芽は同期の中でナンバー1でしたが、あくまで同期の中で、です。
そして三里信一郎のように、1日で候補生試験をクリアするなど、
例年に比べて明らかに圧倒しているといった勝利もしていません。
そんな彼女が仕事に出てきていきなり大活躍!という方が、私にとって不自然でした。
綾芽は普通の会社に入ればいきなり活躍できただけの能力を持っていたかもしれませんが、
天子峰はそんな人ばかりでできた会社という設定です。
だからある意味、普通の人が普通の企業に入ったときと同じような状態だったと思います。
それが今回の結果です。

大学などで凄い凄いと言われた人でも、会社に入って新入社員になるとボコボコに叩かれる。
そんな2巻でした。

サクセスストーリーではよくある展開だと思います。
うまくいってどんどん行くぞと思ったら、新たな試練が降りかかってくじけそうになる。
そんな上がり下がりがあるから、サクセスストーリーはいいのではないかと私は思っています。
以上により、2巻を書いていいと言われた段階で、私の中で綾芽が負けるのは規定路線でした。

能力が高いキャラクターが『能力じゃないところで負ける』という点が
今回の「アンチギフテッド」を意味しているところです。
なぜなら『能力じゃないところで負ける』という点は会社において、そちらの方が当たり前だからです。
問題は負け方です。
『何に』負け、『どんな』負け方なのか。
それは私の伝えたいことと密接に関わってきます。

綾芽はケネスと長良喜平、どちらにも完敗します。
長良喜平に負けた大きな点は『経験』の差です。
私は長良喜平より綾芽のほうが頭がいいと考えていますし(まあ『頭のいい』の基準は人それぞれですが)、
準備不足も綾芽に経験があれば跳ね返せたものだと思っています。
テレビのプロデューサー買収で引っかかりそうになったり、大富豪に裏切られるのは、
その経験不足が露骨に出たと思います。
一長一短ある性格を飼い馴らせないのは子供であり、
短所に関して自分を見つめ切れていないのも経験不足を示すものです。

弥助もミスはあります。
例えばエルとアイシャの相性がいいだなんて最初は考えていた、なんていうのは、まだ未熟な証拠だと思います。
エルは表面上活発ですが、内面は臆病で、矛盾した面も持ち合わせており、複雑な性格です。
アイシャは控えめに見えて、内面はかなり直球であり、エルとは逆の性格です。
ただし根っこでは一致する面もあるため、最悪の相性ではありませんが、
仲良くなるためにはいろいろとハードルがある気がします。
それが感覚的にわからず、改善案を出せないのが、弥助の未熟なところのように思えます。
弥助は『自分』と『他者』の相性は見極められるようになってきていますが、
『他者』と『他者』の相性までは見極められません。
その辺りが高校生らしい未熟さかな、と私は思っています。

『経験』とは曖昧なものであり、なかなか能力の一つとしては数えにくいものですが、
非常に重要なものだと私は考えています。
そのため『経験』が単純な『能力』に勝つようにしたかったのです。

しかしその『経験』も別にものによって破れます。
今回で言えば『人を動かす心』です。

人間において、心(感情)は絶対に引き離せないものです。
そのため会社において、社交性があることは能力を持っているかより前に問われるものだと考えています。

どれほど論理的な説明をしても、感情論に負ける不条理は、社会ではよくあると思います。
個人的にはあまり肯定したくないのですが、事実として受け止めなければならないと思っています。
そのことを認識し、対応するのが大人なのかな、とも思います。
そういった意味では綾芽は子供として、そしてケネスは大人として描きました。
もちろんケネスには他の手法がなかったのですが、信頼し、人の心を動かせるという『武器』は、
現時点の綾芽が持つ頭脳より遥かに強い『武器』だと私は考えており、それを示したかったのです

私がひねくれているだけかもしれませんが、サスペンスで崖にやってきて犯人を論破するとき、
なぜ犯人は開き直って探偵役を押さないのかよく疑問に思っていました。
カイジ風に言えば「押せっ……!」です。
それで積み上げてきた論理は、たった少しの『感情論』によって破れ去ります。

そしてまたその上に、すべてを覆してしまうものがあります。
それが『運』です。
私は弥助の隠しパラメーター的要素に、『悪運が強い』があるとしています。
長良喜平がそこを指摘しましたね。
悪運がなければ、1巻時点で負けています。
今回では捨丸の存在、そしてギリギリでナバサの人たちが駆けつけてくるのが運のいい点です。

しかし運の良さも、活かせなければ意味がありません。
最善を尽くし、信頼の種を蒔いていたからこそ、救われたのだと思います。
どこかおかしな捨丸に対して、ドン引きするのではなく、むしろ親しみを持ったため、
彼を目覚めさせることができたり、助けに来てくれたりしたのだと思います。
またナバサの人たちも、『見返りを求めない優しさ』があったからこそ、
窮地に駆けつけ、クーデターの際も真っ先に逃そうとしてくれたのではないでしょうか。

過去の英雄たちは、後世から見ると事実だから受け入れられるものの、
おそらく当世の人から見たら物凄く都合のいい結果となった事象が存在します。
私はその中で、『その運を引き込む行動をしていたか』について重視しています。

私は弥助の中でもっとも異常なのは、『見返りを求めない優しさ』を平気でするところだと思っています。
そしてそれが『悪運が強い』となる要因だと私は考えています。
『見返りを求めない優しさ』を持つ人間は私にとって憧れであり、『理想』でもあります。
そしてそういった人間が報われることも、現実ではなかなか起こらない『理想』です。

どこまでストーリーの様式を貫き、現実と理想のバランスを取るのか、私は非常に悩みます。
能力を持たないケネスが様々な能力を持つ綾芽に勝ってしまうことについては、
私にとって『現実』を選択した結果であり、
そのことによってライトノベルのメインユーザーである中高生に
人と関係を作ることの大切さを語りたいという私自身の『理想』を入れ込んだ結果が現在のものとなります。
そしてクーデターが起こってしまうことは、独立まもない国での選挙にも関わらず
綾芽と弥助が軍隊に気を払わなかった『現実』的結果であり、
それが運によって助かってしまうのは『理想』、と私は想定して描きました。
そうした現実と理想を両極端に描くのが「ギフテッド」であり、
サクセスストーリーであると言える大きな部分でもあると考えています。




ケネスとジュニアのシーンについて。
ケネスによってジュニアが立ち直る部分は、二つの考えから私はストーリーに入れました。
一つは選挙の結末についての考えです。

第二章辺りでかなりのページを割いて選挙に関する説明をしましたが、
これを受けて問題となるのが、どういった内容によって選挙の勝者が決まるかです。
私は選挙の批判をするつもりは毛頭ないので詳細は避けますが、
「騙すこと」によって勝つこともあると思っていますし、
「軍事力」によって勝つこともあるともちろん思っています。
むしろそうした「政策」や「人格」によらない勝利のほうが、選挙というものにとって、自然な気がします。
「ギフテッド」が大人向けのものであれば、
私はおそらく、より悪巧みをしたほうを勝利するように書いたと思います。

しかし私の考える自然さをねじ曲げて現在の結末にしたのは、やはりライトノベルだからです。
中高生がメインターゲットだからこそ、もう少し善意による結末が描きたかったのです。

私の現実感覚としては、「ナバサの民は恩を忘れない」と語るタバサの人たち自体が不自然ですし、
「票のための行動なのか、わしらのための行動なのか、それくらいわかる」というセリフも不自然です。
一部にそういう人がいても、国を動かすほどの人数になることはありえない、と私は考えています。
そんな私があえて2巻のような内容を書いたのは、「そうあって欲しい」と願っているからです。

普通の主人公が美少女に囲まれるというハーレム展開によって、
「そうあって欲しい」願望が描かれるのと同じで、
選挙が政策で動くことは不可能かもしれないが、せめて善意で動いて欲しいという
私の片隅にある一部の願望を具現化したものがこの結末です。

多くの物語が『ありえない理想』を描いているように、
選挙による『ありえない理想』を描くのもまた面白いじゃないか。

そう思い、楽しみながら書いていました。


もう一つは人を信じることの難しさについての考えです。

まだ2巻が出てそう時間は経っておらず、感想も友達経由でしか収集しないため、
今のところどんな感想が出ているのかはわかりませんが、
書いている段階で賛否両論が分かれそうなのは、
ジュニアの立ち直るシーンと、捨丸関連のシーンと考えていました。
捨丸関連は後で触れます。

ジュニアのシーンで問題となるのは、ジュニアへの感情移入度でしょう。
ジュニアの弱さや行動に読者が共感を覚え、受け止めていただければ問題なく進めるでしょうし、
そうでなければ何かの引っかかりを覚えるでしょう。

そしてそれが、人を信じることの難しさです。

読んでいただいた方がジュニアに共感を覚えず、信じられない場合、引っかかります。
あ、もちろん、私のストーリーや文章の下手クソさによっての場合は、もちろん除きます。

私は引っかかることが不自然とは思いません。
むしろ私自身が、他人の作品として2巻を読んだ場合、引っかかるかもしれません。

本来であれば、ジュニアを弁護する人が出てきて、ジュニアの過去を語ってあげることで、
ジュニアへの感情移入度を上げなければなりません。

例を出しますと、スラムダンクで三井がひねくれていたとき、小暮が過去を語ってくれます。
ああいうキャラやシーンがあれば感情移入度が上がり、また見え方が違います。
それはスラムダンクのあのシーンを、小暮が語る回想シーン抜きで見るとわかりやすいと思います。

しかしジュニアにはそういう同情をしてくれる人はいません。
安西先生の立ち位置である、父親も死んでいます。
『僅かばかりの救い』がジュニアにはなかったのです。
それが、彼の置かれた状況です。

漫画は三井視点になり、その思いが見えますが、現実は端から見たり聞いたりしているだけです。
もし私がスラムダンクの世界にいて、小暮の話を耳で聞いているだけならば、
「自分で勝手に落ちていっただけだろ。自業自得だ」
と思い、三井を絶対に許さなかったかもしれません。
そもそも更生したこと自体をずっと疑ったかもしれません。
これは私が簡単に人を信じないからです。

だからこそ、漫画のように対象者の過去が見えないにも関わらず、
心の奥底にある純粋な想いを汲み取り、信じ続けたケネスは凄いのだと思います。
ジュニアに反発を覚えた方によって『人を信じることの難しさの可視化』を行うことで、
ケネスの凄みをお伝えすることができないか、というのが私の意図です。

ここで補足しておかなければなりませんが、
私が伝えたいのはあいつSUGEEE的なものではなく、
ただ単純に「ケネスのような心を【賞賛】したい」ということです。

ケネスはギフテッドの登場キャラクターにおいて、唯一モデルである人物が実在します。
その人物と出会ったことで私は大きな影響を受けました。
だから、死という人間における最大の未知、そして恐怖を突きつけられ、
それでもなお前を向き、人に優しさを向けられる人物の透明感と言葉の重さを知っています。
他の誰でもなく、そんな死に瀕した人物からの言葉だからこそ、ジュニアを変えられるだけの力を持ち、
そうした力は「現実に存在する」と私は確信しています。

そんな素晴らしい力を持つ人に対し、周囲からできることはほとんどありません。
かける言葉は同情にしかならず、共に笑えるようにすることしか、少なくとも私にはできませんでした。
そして時を経て、現在の私ができることは「賞賛」のみです。
優しさは素晴らしいことだ、なんてお題目では人の心は動かせないと思いますし、
押し付けとなってしまい、反発を生みかねません。
だから私は「賞賛」するのみです。

「賞賛」を物語の中ではなく、現実に落とし込み、可視化するため、
あえてジュニアの心の語り部は用意せず、現実に近づけました。
そして趣味嗜好、相性などなど、様々な要因から、
どうしても生まれてしまうストーリー展開への反発を『人を信じることの難しさの可視化』とし、
『現実における人を信じることの難しさ』を浮き彫りにすることで、
間接的に「ケネスの心の賞賛」にすることはできないか、
そしてそれに気がついてもらうことはできないか、と思ったのです。
まあ、それを行うには私の実力はかなり不足していると思っており、
この手法はもっと実力がついた上でやるべきではなかったか、という点が、2巻における私の最大の悔いです。

もちろんこの手法を取る前提に、ページ数の問題、視点変更の問題、キャラの多さの問題などがあり、
ジュニアの心を語る余地が少なかった、という部分があります。
ギフテッドが漫画で、ページに余裕があれば、勢いを殺しかねない視点変更もスムーズにできますので、
おそらくジュニアに感情移入させるため、ジュニアの過去シーンを入れていたと思います。
そういった意味でケネスとジュニアのシーンは
ギリギリの状況下で取った暴挙と言えるものかもしれません。



長くなってしまったので、とりあえずここで一度区切ります。
まだ続きはあるので、ぼちぼち書いていきたいと思います。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。


  1. 2012/05/20(日) 21:13:03|
  2. 本の解説
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ギフテッド(1巻)の解説② ※ネタバレあります

こちらはギフテッド(1巻)の解説①の続きです。

※注意
編集者さんが見ても問題のない範囲で行う予定ですし、
その他影響がないだろうと思う範囲で書くので、足りない部分についてはご容赦を。
2巻まで読まれた方を前提として書くので、ネタバレが嫌な方はお戻りください。

またこれを読むことが蛇足と感じる人もいるでしょうし、表現一つを取られて叩かれるのも辛いので、
嫌悪を持たれる方は見ないでいただけると助かります。

それでは1巻の解説の続きを。
思い出したごとに書いていたりするので、読みにくい点はどうかご勘弁を。
楽しんでいただければ幸いです。
改行を入れるので、読まれる方は下のほうに行ってください。






























■前提
以下の内容は、いかなる作品、主義主張、個人あるいは企業を貶める意図も持っていません。
また私は一つの考えが正しいと思わず、物事は多面的だと考えているタイプですので、
解説はあくまで考えの一部であることをあらかじめここに記載しておきます。



インタビュー(http://news.dengeki.com/elem/000/000/438/438581/)でキャラを切ったと書いたのですが、
それが2巻で出てきた三里信一郎でした。
個人的には凄く好きなキャラクターだったので、2巻を書く上で、
このキャラを出せたことがとても嬉しかったです。
汚れた大人になってしまったので、こういう毒が詰まったキャラクターが好きなんです。

『絶対数感』という力が出てきましたが、これも投稿時からあったものでした。
人間に身につけられる力なのか・・・・・・という問題点がありますが、私はギリギリある範囲にしました。
一応、近い症状や現象は実際にありますから。
しかしもし自分にそんな力があったとしたら、精神が持つ自信はありませんね。
『絶対数感を持ちながら正常とは言えないかもしれないけど、正気を保っている』というのが、
すでに異常さの象徴であるように私は思えます。




天子峰の企業規模は3行ほどで片付けられてますが、計算するのに3日くらいかかっていたりします。
「ギフテッド」は2020年の設定なので、ここ数年の上位100社の規模を調べ、
成長率を割り出し、2020年の上位100社予測を出した後、
歴史上大きかった国や企業が世界の富をどれほど握ったかをメモしました。
そこで「かつてあった国や企業が握った富に色をつけたレベル」として、今の数字を上げています。
いやぁ、第一次世界大戦~第二次世界大戦くらいのアメリカとか大英帝国とかマジチートですよね。
おかげでありえない金額が出てしまい、この数字にしていいか随分迷ったのを覚えています。



もっと書きたいことはあったような気がするのですが、思ったよりも早く終わりました。
思い出したら追記をするかもしれません。
ひとまず次に、2巻の解説に移ろうかなと思います。

すぐなのか、少し空くのかはわかりませんが、またよければお立寄りください。
それでは失礼します。

  1. 2012/05/14(月) 22:34:27|
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