ブログ(仮)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

ギフテッド(2巻)の解説② ※ネタバレあります

ギフテッドの2巻が発売し、もしかしたらあとがきからこのブログ来てくれている人がいるかもしれないので、
せっかくだからあとがきで書ききれなかったギフテッド執筆の裏話や解説を書いてみたいと思います。
もちろん編集者さんが見ても問題のない範囲で行う予定ですし、
その他影響がないだろうと思う範囲で書くので、足りない部分についてはご容赦を。
2巻まで読まれた方を前提として書くので、ネタバレが嫌な方はお戻りください。

これはギフテッドを楽しんでいただいた方により楽しんでもらえるよう、補足をするものです。
そのため、読まれた方の考えや抱いた感情を否定するものではありません。
ギフテッドの作品を否定するものだとしても、それは真実だと思います。
私の解説などは、所詮盤外からの後付けです。
ただ作者はこう考えていた、という発見によって、楽しんでもらえる方がいれば幸いと思い、書いていきます。

これを読むことが蛇足と感じる人もいるでしょうし、表現一つを取られて叩かれると心が死ぬので、
嫌悪を持たれる方は見ないでいただけると助かります。

それでは2巻の解説を。
思い出したごとに書いていたりするので、読みにくい点はどうかご勘弁を。
改行を入れるので、読まれる方は下のほうに行ってください。



























■前提
私は一つの考えが正しいと思わず、物事は多面的だと考えているタイプですので、
ここに記載することも考えの一部であることをあらかじめここに記載しておきます。



さて今度は、捨丸について触れましょう。
一言で表現するなら、『問題児』です。

これはあとがきがもう1枚あればネタにしようと思っていたのですが、
プロット(あらすじのようなもの)を提出したとき、編集者さんに「いいですか?」と確認し、
初稿を書き上げた後でも「やっぱり削除しましょうか?」と問い、
修正後も「大丈夫でしょうか?」と聞いたりしました。

それほど私自身入れるか悩みながらも、プロットの段階から入れていたのは、
彼の持つ『暴力』と『不確実性』が欲しかったからです。

1巻や2巻でも強調されていますので、繰り返しになってしまい申し訳ないのですが、
私は『暴力』を非常に強いものだと思っています。
どれだけ頭脳を巡らせても、『暴力』はあっさりと覆します。
それほど恐れるべきものなのだと考えています。
現実において『外交力』が『軍事力』と連動しているように、これは外せない点だと考えています。
そのため国の行く末がかかっているのに、
『暴力』や『軍事力』が関わってこないのは、私にとって不自然に感じるものでした。

最近のアラブの春などが最近の代表でしょう。
むしろ荒れるのが当然だと私は思っています。
そのため最後のクーデターは、私にとって外したくないものでした。

個人における『暴力』と軍隊における『軍事力』はそれぞれ使いどころが違い、役割と使い方があります。
極論を言えば、範馬勇次郎が味方にいれば、選挙で策を弄する必要なんてありません。
相手を潰して終わりですから。
逆にこのとき、軍隊で攻めると目立つので不向きだと思います。
そのためもし捨丸の改造が完璧に行われていれば、
『頭脳』も『感情』も立ち入る余地はなく、捨丸が綾芽とケネスを暗殺し、勝負はそれで終了だったと思います。

こうしたことができることに『個人の暴力』のメリットがあり、
倫理を捨てても叶えたいことがあるならば、手に入れておきたいものの一つだと私は思っています。
様々な戦争時に人体実験の話が出てくるのは、それを証明するものに思えます。
そうして生まれたのが捨丸です。

現在でも両足義足の世界記録は10秒台ということを知り、
10年後、しかも技術が現実より発展した世界においては、
人体改造すれば相当なところまで行くだろうと考えています。

「ギフテッド」には「世界のトップに立つ人間とは、どんな人間か?」というテーマがある以上、
あらゆる面において人間の限界を探りたいと私は思っていました。
それは無論、頭脳や精神においてだけではなく、肉体としても、です。

じゃあある程度の「軍隊」と倫理を抜いて改造された「個人」はどちらが強いのか。
これに対し、私の出した結論が、個人の方が強いのではないかというものでした。
それは私の予測ではなく、提示として2巻に書かせていただきました。

今度は『不確実性』についてです。
戦争は思い通りにいきません。
歴史を調べるほど、おいおいと言いたくなるような些細なことが戦争の趨勢を決めた出来事が出てきます。
その『不確実性』をいつ爆発するかわからない爆弾のようなキャラクターに託したい望みが私にありました。
また平和な日本にいると見落としがちですが、『暴力』は世界的にはよく使われる手法であり、
国によっては当たり前のように使われる点も、『暴力』を象徴するキャラクターを入れたかった部分です。

研究所からの脱出、そしてクーデター時の捨丸の動きは、
『暴力』や『軍事力』によって積み上げたものも簡単に崩壊してしまうこと、
そしてエンターテイメントとしての演出面を考慮した上で決めました。

しかし頭脳戦を期待している方からは非難が出そうだなーと思っていたため、
編集者さんに何度も確認していたわけです。
ただ医局内での政治闘争とは違うため、頭脳による争いだけでは不自然と考えており、
『捨丸を入れる』というのが、プロット段階からあったわけです。

まあいろいろと書きましたが、純粋に楽しんでいただければこれ以上嬉しいことはありません。

なお、もし捨丸がカットだった場合、上記のコンセプトがなくなり、ページ数にも余裕が出るため、
次善の案として用意していたのは『候補者三名によるテレビ討論会と、その裏幕』でした。




せっかくクーデターのところの話が出たので、長良喜平の動きに関しても少し触れましょう。

長良喜平は海外で活躍していたサラリーマンのため、
政情不安定な国でクーデターが起こっているのは当然のごとく知っていますし、
軍事が国にとって大きな要素であることは肌で知っています。
そのため取った手法が、軍隊の情報を操るというものです。

彼の性格を考えると、三人の候補者の中で一番やりにくかったのは将軍でしょう。
一番自分の思うように動かせませんから。
それを理解していながら、サラリーマンの優秀さを誇示したい彼は、後から候補者を選ぶ状態にしています。
その状態とするには、勝てる算段がなくてはなりません。
そのため彼が誰を敵に回しても勝てるようにした手法として、

・ジュニアは過去の醜聞を集める
・大富豪は汚職の事実を突き止める

となっています。
これらは切り札として取っておき、いざというときの交渉材料としていました。
あっさり公表しては手を結ぶのは難しいですが、内に秘めておくことで、
手を結ぶ可能性も考慮していたのです。
そのおかげで、大富豪を一本釣りするという方法を取ることができました。

しかし将軍にはこれといって弱点と呼べるものがありません。
そのため彼が用意したのは、軍隊の情報を操るというものです。
他の候補者の弱点を握る努力と同様の努力で、軍にシンパを作ったりや仲間を潜入させ、
自分の思い通り動かせるようにセッティングをしていました。
もし応援する候補者が将軍以外であった場合、彼はきっと
『将軍が国を売ろうとしている』など、将軍に不信感を抱かせる情報をばらまき、
将軍を軍のトップから引きずりおろしたことでしょう。

今回は味方だったのでその方法は使いませんが、勝利を確実にするために、工作はしていました。
それは将軍の信望を高めさせる情報を流す、というものです。
独立戦争を戦ってきた兵士は将軍を信じていたので、それに油を注いでおいたのです。
そうしておけば万が一負けたとしても、クーデターが起きて、ジュニアと大富豪を殺すことにより、
自動的に勝利が転がり込んできます。
この点は先ほど解説した『どんな頭脳戦や結果も暴力であっさり覆ってしまう』ことを、
長良喜平がよく理解していたことがわかる部分だと思います。

ここまで万全にしていた彼が負けたのは、やはりジュニアの躍進でしょう。
これにより、軍隊内部でも揺れや焦りが出て、暴発が早まったのです。
独立戦争を戦った軍隊を外部の人間が思いのまま操るなんて、
相当な手並みを持った人でも困難なことだと思います。
ケネスによって発生した予定外の出来事が、成功率の低いクーデターを誘発し、
予想外の敗北をすることになったことは、彼のとっさの機転の弱さが出た部分でもあるでしょう。
恐ろしいほど準備周到で、逆にそれがゆえとっさの機転が弱いという点は、
日本人らしいと言えるかな、と思います。




今回綾芽は大富豪を選びましたが、その選択は間違っていたのでしょうか?
私は間違っていなかったと思います。
少なくとも、ジュニアや将軍を選ぶよりずっと良く、
現状の綾芽にとって一番組みやすい相手を選んだと考えています。

綾芽がジュニアを選んだ場合、ジュニアを立ち直らせる行動は取らないため、
反発し合い、長良喜平の罠もあって、勝利することは不可能だったでしょう。
問題は将軍を選んだ場合ですが、天子峰に反感を持つ将軍との融和を図れなかったと思います。
おそらく綾芽は下手に出ず、将軍とぶつかったでしょう。
それではダメだと考えて策を弄しても、理性が強く、戦場を潜り抜けている将軍は、
綾芽の企みに気がつき、より深い疑念を抱くようになると思います。
将軍を選べば勝てたかも、と思っているのは弥助であり、その判断は間違いだと思います。
そしてそれが弥助の能力の未熟さでもあります。

ただ弥助がリーダーとなった場合は別です。
弥助がリーダーで、将軍と組めば、ぶつかり合いはほぼなくなり、やがて友好も芽生えたでしょう。
弥助は打算のない人間(というより、頑張っている人に対しては私欲なしに理想論を優先する人間)なので、
将軍はその点に気がつき、態度を軟化させたと思います。
そうなれば勝てる可能性はあったでしょう。

綾芽の持つ『欲』と『甘さ』はアンバランスであり、それ故、大富豪を選ぶ以外
まともに策を進めることすら難しかった状況だったと思います。
エルは勘によって最善が将軍と見抜きましたが、
綾芽自身も自分の自己分析によって最善の相手を選んでいたのです。
綾芽自身が人によって最善は違うと言っていますが、あれが露骨に出ていたのが、候補者選びだったと思います。

ではどうやれば綾芽が勝てたかですが、一つは今より度量があればそれだけで勝てたと思います。
綾芽が大富豪を選ばなければまともに戦えない性格だった時点で度量は足りないのであり、
これが社交性の重要性とも繋がり、能力だけでは勝てないことを示しています。

それが現状ないということで、最善の大富豪を選んだ上で勝つには、『甘さ』を捨てる必要がありました。
私は思います。なぜ綾芽は、大富豪を裏切らせないため、人質を取ったりしなかったのか、と。
手段は何でもいいと思います。とにかく裏切らせないことは絶対にしなければならなかったのです。
例えば三里信一郎であれば、特に何もしなくても大富豪は裏切らなかったでしょう。
ズバズバ心の中を言い当てられれば、それだけで恐怖心は湧いてきます。
悪魔とも思える所業を平気で行う人間であることを知れば、裏切ったらどうなるか想像し、
長良喜平が声をかけても恐ろしくて裏切ることはなかったでしょう。

『甘さ』は人にとって魅力的に映るときもありますが、それは相手によってです。
弥助はその点に興味を抱き、評価していますが、その『甘さ』を弱みと思う人間には通用しません。
大富豪は少なくとも綾芽の『甘さ』を好意的に解釈する人間ではなかったので、
それが裏切るという結果に繋がったのだと思います。
『甘さ』を見せる相手を誤り、徹底さを欠いたところが綾芽の未熟さでしょう。
こうした精神のバランスの悪さが綾芽が能力を活かし切れていない点だと思います。

その点、弥助は安定度が高く、綾芽よりはずっと能力を発揮できています。
それが現れたのが『プロデューサー関連のシーン』であり、『長良喜平の勧誘を断ったシーン』だと思います。
『長良喜平の勧誘を断ったシーン』は断っても大変なことになりましたが、
もし断らなければ『弥助の心に弱点が発生する』という自体になったので、
助かって以後、大きな悩みの種となり、勝負を決定づけるものになっていたと思います。
それが断ち切れたのは、彼が優先順位を間違えず、私心の甘さを捨てた結果でした。
それが今回の二人の評価に繋がります。
綾芽は二面性の持つ長所と短所をもっと操り、長所を場面によって使い分けができるようになることで、
ようやく本当の能力が発揮されると思います。

結構散々に綾芽をこき下ろしていますが、それでも能力は秀でており、
弥助が綾芽の指示待ちになっている部分などは、絶対能力の差を示すものだと思います。
逆に安定した力を持っている弥助ですが、今までになかった感情が芽生えることで、
弱点が大きくなると同時に、自らの殻を破ってより大きな力を手にしようとしているのだと思います。

自分の力を発揮できず、一流になれないことはよくあることです。
しかし綾芽は負けたことがわかった後でも、最善を尽くし、ジュニアを勝つところまで持って行きました。
弥助も独白していますが、決戦投票に持ち込まれるには、弥助の力より、
綾芽の裏の動きのほうが大きな影響がありました。
大富豪を一本釣りされ、自らの勝利が得られないとわかっていながらも、
腐らず自らが作り上げた勝利への準備をうまく使いきったのが綾芽の矜持であり、
幹部として上にあがれるだけの資格を持ち合わせているところを見せつけた部分だと思います。
ここでもし腐っていれば綾芽は幹部に残ることはできず、幹部補に落ちていたことでしょう。


とりあえず解説はここで区切りをつけます。
ネタはあるんですが、書いていいのかなぁ、という部分もあるので。
もしこの点について解説して欲しいということがあればメールでどうぞ。
また、思いついたら追記するかもしれません。

今後はだらだらとした内容のブログを続けていくと思いますので、つまらん内容ばかりですみません、
と今のうちに謝っておきます。

それではここまで長い文章にお付き合いいただきありがとうございました。


スポンサーサイト
  1. 2012/05/30(水) 22:39:43|
  2. 本の解説
  3. | トラックバック:1

トラックバック

トラックバック URL
http://nimaru.blog.fc2.com/tb.php/12-bd404db2
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

まとめ【ギフテッド(2巻)の】

ギフテッドの2巻が発売し、もしかしたらあとがきからこのブログ来てくれている人がいるかもしれないので
  1. 2012/11/23(金) 13:14:05 |
  2. まっとめBLOG速報
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。